【連載】進化した GORE-TEX PRO がもたらしたもの。“待ち望んだ素材”により理想へと近づいた MAMMUT「ノードワンド プロ ジャケット」

2020年、ネクストレベルへと進化を遂げた「GORE-TEX PRO プロダクト」。“極限を征する”ために開発されたこの素材は、より高度な「頑丈さ」「透湿性」「ストレッチ性」、さらには「サステナビリティ」を実現。新たに生まれ変わった「GORE-TEX PRO プロダクト テクノロジー」が採用されたアイテムは、アウトドア体験にどのような革新をもたらすのでしょうか。この連載では、ものづくりへの徹底したこだわりを持つアウトドアブランドの担当者にインタビュー。注目の新作、そして「GORE-TEX PRO プロダクト」の魅力に迫ります。今回はマムート 企画開発本部 本部長の冨室清悦さん。人間工学に基づいた旗艦モデルに欠かせなかった、GORE-TEX PRO プロダクトの“ストレッチ性”とは。

 

トップアルピニストと共に作り上げた
過酷な雪山を征するフラッグシップモデル

1862年にスイスで誕生し、アルプスでの深い知識と経験を基に製品を進化させてきたマムート。そんな同ブランドのフラッグシップといえば、ひと目で分かる細身のシルエットと、昔から変わらないオレンジとブルーの色使いが印象的な「EIGER EXTREME Collection(アイガー・エクストリーム・コレクション)」。その中でも「ノードワンド プロ ジャケット/パンツ」は、歴代のGORE-TEX PRO プロダクトを採用してきた、ハイエンドのハードシェルです。

「アイガーコレクションは1995年に登場したマムートを代表するモデルで、『登山家のための革新的で妥協のない商品を作成し完成させる』ことをポリシーとして、アップデートを続けてきました。当時から人間工学に基づいた設計になっているところが大きな特徴で、その開発にあたっては、トップアルピニストたちからのフィードバックが大いに生かされています」

フィールドテストには、マムートがサポートするステファン・シーグリスト、ダニ・アーノルドといった登山家たちや、アルパインスクールの登山ガイドが参加。現場で得られた結果を、マムートは特に重要視しています。「プロを納得させられるものでなければ、一般に販売することはしない」というのが、製品開発における大前提なのだとか。

「日本ではあまり実感できないことですが、今、ヨーロッパでは温暖化の影響で降雪量が少なくなっています。それによってアウトドアのフィールドは刻々と変化し、同時にアウトドアギアにより多くのことが求められるようになってきています。直近では“ファスト&ライト”といって、短時間で登頂・下山できるような軽さが重視されるなどニーズは細かく変化していますから、進化の方向性をより明確にするという意味でも、プロアスリートと一緒に作ることは非常に重要なのです」

 

待ち望んだ“頑丈さとストレッチ性を兼ね備えた素材”
GORE-TEX PRO プロダクトが導いた新たなステージ

かねてから「ノードワンド プロ ジャケット/パンツ」に求められていたもの、それは“ストレッチ性”でした。クライミングのムーブを邪魔しないフレキシブルさは、最高のパフォーマンスを発揮するための重要なファクター。特にアスリートたちからの要望が多い部分でした。

2017年にフルモデルチェンジした第4世代では、当時の“GORE-TEX PRO プロダクト”とストレッチ性のある『GORE-TEX プロダクト』を併用することで要望に応えていましたが、新作の第5世代では『GORE-TEX PRO most rugged technology(モスト ラギッド テクノロジー)』と『GORE-TEX PRO stretch technology(ストレッチ テクノロジー)』を採用。“GORE-TEX PRO”の頑丈さがありながらも、ストレッチ性を持った、まさに理想的なハードシェルを完成させることができました」

ストレッチ生地は40デニールで、ジャケットの肩甲骨の横から腕にかけてのパネル部分に使用。裏地を見ると一目瞭然ですが、生地の切り替え部分には8mmと12mmのシームテープを使い分け、生地の厚みの違いによる強度差にも配慮しながら、極限まで頑丈さと軽さのバランスを図っています。

「パターンも新しくなっています。ハンガーに吊すと分かりやすいですが、自然と腕の部分が前に出るようなフォルムが特徴です。これはダイアゴナルパターンといって、ストレッチ生地との相乗効果で、腕を肩甲骨からダイナミックに動かせるのが最大のメリット。従来よりもシルエットをコンパクトに作れるようになり、生地を節約した分、軽さにも貢献しています。パタンナーがアイスクライミングの現場を訪れ、アスリートと共に生み出しました」

パンツに関しても、膝や股に「GORE-TEX PRO stretch technology」を取り入れ、動きやすさと頑丈さを兼備。ハイブーツでもストレスなく履けるよう、ゲイターのゴムによる絞り位置を増やしたり、開閉をボタンからジップに変更したりするなど細部のアップデートを加え、トータルでの完成度を高めています。

 

25年を経て辿り着いたひとつの理想型。
そしてここから、さらに進化する

マムートのものづくりへのこだわりと「GORE-TEX PRO プロダクト」が融合することでより進化した「ノードワンド プロ ジャケット/パンツ」。冨室さんもその完成度を高く評価しています。

「実はGORE-TEX PRO プロダクトにおけるストレッチ性の実現は、マムートからゴア社に要望していたことでもありました。そのため、試作段階からフィールドテストを行い、両社間でかなりの試行錯誤があったと聞いていますから、ゴア社側は大変だったと思いますよ(笑)。でも今回、そんな待望の GORE-TEX PRO stretch technology が誕生したことで、ひとつの理想に辿り付けたと言っても過言ではありません。私も長くマムートを見ていますが、改めて、素晴らしいコレクションになったと感じています」

マムートが1995年にアイガーコレクションをローンチしたときから始まった、マムートとゴア社との関係。その中で深い信頼を築くことが出来たからこそ実現したのが、今回のコレクションだと言えるでしょう。そして、本国ではすでに第6世代に向けたテストも進行中だとか。

「マムートのフィールドテストは最低でも3年程度かけて行います。より良い製品を生み出すためには、立ち止まらず、次のイノベーティブなことに向かって進んで行かなければならないのです。特に近年は機能面だけではなく、サステナビリティを高めていくことも重要。マムートも、より責任あるサプライチェーンとして、サステナビリティ目標を定めた『WECARE』を策定し、持続可能な社会に向けた取り組みを行っているところです。そうした中で、素材・生地が果たす役割というのはとても重要。これからもゴア社とは良い協力体制を築きながら、次の世代のイノベーションを共に作って行きたいですね」

ノードワンド プロ ジャケット(MAMMUT 公式サイト)
https://www.mammut.jp/items/1010-28050

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