登山家・山岳ガイド

花谷 泰広

カムバックを果たす

諦めたほうが良いと思われるような状況でさえ、花谷泰広氏は全力を尽くします。2004年、メルー中央峰の「Shark’s Fin」ルートに挑戦中、標高6,000mで転落し、左脚を骨折。しかし、2年後にはメルー中央峰第2登を達成。危険な状況にもかかわらず、キャシャール南ピラーの初登攀を遂げ、クライミング界のオスカーと呼ばれるピオレドール(Piolet d'Or)賞を受賞しました。

これまでの人生で最大の功績は何ですか?

常に「次のプロジェクト」が人生における最大の成果となるよう努力を続けたい。そういう意味ではまだ何もなし得ていない。これまで幼い頃から積み上げてきた登山経験、そしてこれからさらに積み上げていく登山経験を活かして、これからの人生でこの登山界で何ができるか、何を残せるかを常に問いながら生きていきたい。より身近なテーマとしては、甲斐駒ヶ岳が自分のホームマウンテンになっていて、この山と深く向き合う日々を送っていること。まだ幼いふたりの子どもたちに、山の自然の豊かさや素晴らしさを伝えていきたい。

挑戦を続ける原動力は何ですか?

物心ついた頃から山に登っていた僕にとって、山に登るという行為はごく自然な行為であり、今でも変わらずその気持でいる。しかし昔から自分が知らない山に登ることが何よりの楽しみであり、それが今でもヒマラヤの未踏峰や未踏ルートを目指す原点になっていると思う。いまはその楽しみを「ヒマラヤキャンプ」というプロジェクトを通して、若い世代に伝えていくことに情熱を注いでいる。またすでに登られている山であっても、その人にとっての First Ascent を素敵に演出できるような山岳ガイドでありたいと思う。

GORE-TEX プロダクトを選ぶ理由は何ですか?

絶対的な信頼性に尽きる。長期にわたるヒマラヤの登山ではもちろんのこと、世界でも稀に見る劣悪なコンディションで行われる日本での冬のアルパインクライミングでも、梅雨の長雨が続くシーズンでも、また日常の生活の中でも、GORE-TEX プロダクトは必ず僕を守ってくれて快適に過ごすことを約束してくれた。これからも GORE-TEX プロダクトともに世界中の山々を旅したい。

「○○のために生まれてきた」を10語以内で表現するなら?

「登山文化の継承と発展」

日本の冬は気候の変化が激しい。厳しい寒気を伴った風雪に見舞われることもあれば、驚くほど湿った雪の中での行動を強いられたり、真冬であるにも関わらず雨が降るときもある。いつも濡れとの戦いである。濡れたウエアはテントの中ではマットレスの下に敷き、断熱材にする。そして翌朝は湿ったウエアを身につけて、また行動を続ける。晴れ間さえあれば、ウエアは何事もなかったかのように復活する。そんなハードな使い方をしても全く問題ないのが GORE-TEX プロダクトだ。

花谷泰広

登山家・山岳ガイド

一週間におよんだキャシャールでのクライミングでは、コンディションが目まぐるしく変化した。特に後半は不安定で危険極まりない雪のリッジを縫うように進まなければならず、100%の集中力を要した。こういう状況では自分をドライで暖かく保ってくれる完全に信頼ができるジャケットでなければならない。頂上からの下降は最も事故が起こりやすい時間だが、不運なことに大粒の雪の中の下降となってしまった。しかしそんな気まぐれな天候にもしっかりと対応してくれたからこそ、登山を成功させることができた。

花谷泰広

登山家・山岳ガイド

主な功績
  • 若手クライマーを養成する「ヒマラヤキャンプ」プロジェクト開始
  • 第21回ピオレドール賞、第8回ピオレドールアジア賞受賞
  • ネパールのキャシャール南ピラー(ピーク43)初登標高:6,770m
  • ネパールのネムジュン西壁より初登標高:7,140m
  • インドヒマラヤのメルー中央峰(Shark’s Fin)第2登標高:6,660m

写真提供:花谷泰広事務局