GORE-TEX Transalpine Run 2018 日本公式ペア初参戦特集

富士山の山麓や登山道などを走りつなぐ約 170km のトレイルランニングレース「ウルトラトレイル・マウントフジ (UTMF)」が、2018 年 4 月末に開催されました。スペシャルスポンサーの GORE-TEX Products からは、特別賞として「GORE-TEX トランスアルパイン・ラン 2018 出場権」をプレゼント。総合 6 位、日本在住選手としては見事 1 位でフィニッシュされた土井陵選手が獲得され、ご友人の別府浩司選手とペアを組んで参戦することになりました。

期間は 9 月 2 日~ 8 日。ヨーロッパ・アルプスを舞台とした、3 ヶ国 7 日間にわたる約 255km の過酷なトレイルランニングレースに、猛者が日本から挑みます。

出発直前インタビュー
帰国後インタビュー
TAR 2018 ハイライト
TAR 2018 土井選手

― はじめに自己紹介をお願いします。トレイルランニングに出会ったきっかけとこれまでの経験ついてお聞かせください。

<土井選手> 土井陵です。トレイルランニングを始めて 年になります。マラソンの練習として始めたトレイルランニングでしたが、山を走る魅力にどんどんのめり込んで、今ではトレイルランニングのない生活は考えられません。私はこれまで UTMB や Vibram Hong Kong 100 といった国際的なレースに出場してきました。そこで素晴らしい景色を見ることができたり、多くのランナーと知り合いになったりと本当に楽しい遠征を続けてきました。トランスアルパイン・ランでは、初めてペアで走るステージレースということで、新しい発見と経験ができることは間違いありません。そして、ペアは友人の別府さん。自分とよく似た境遇で、山をこよなく愛するその人柄に惹かれ、今回パートナーを依頼しました。二人でこのレースを思いっきり楽しみたいと思います。

TAR 2018 別府選手

<別府選手> 大分ではなく福岡の別府です(現在単身赴任で横浜在住)。これまでバスケやヨット、ゴルフをしてきましたが トレランを始めて早 10 年がたちました。子どものころから近所の山によく行っていましたが、山を走るスポーツとしてトレランを知ったのは偶然誘われた草レースに出たことです。実際に大会で山を走ってみると、走るのが嫌いだったのに自然の中で動く爽快感と下りの疾走感に衝撃を受けて一瞬でハマってしまいました。それ以降は、九州の大会を中心に参加していますが、福岡の立地と関東に行くよりも安く行けて旅感も味わえるアジアのレースにも 回 (ヶ国) 参加してきました。土井くんと知り合ったきっかけは忘れましたが、元バスケ部でカレー好きという共通事項があり、九州で一緒に合宿したり出張で都合がつけばカレーを食べたりしています。

TAR 2017 ハイライト

― トレイルランニングの魅力と難しさとは?

<土井選手> トレイルランニングの魅力、それは日常を離れ、自然というフィールドに溶け込み、自然と一体になること。そして、自然だけでなく、同じ目標 (ゴール) に向けて走る他のランナーとの出会いが最高に楽しいです。トレイルランニングの難しさは、やはり自然が相手であること。自分の小ささを感じます。天候が崩れればレースの難易度は増します。また、自分の中の自分に負けそうになることもあります。魅力であり、難しいところ、それは自分との対峙ではないかと考えています。上手くいかないから面白いのかもしれません。

<別府選手> 魅力はすでに述べた「自然の中で動く爽快感」と「山を下る疾走感」に加えて、登った後にご褒美として見える景色、美味しい空気や水を味わえることです。それと大事なのが、これまで自分がやってきたスポーツと違いいくらやってもタダ (無料) だということです(笑)。レベルや好みに応じてしか行動していないため難しさを感じたことはありません。

TAR 2017 ハイライト

今回、土井選手が出場した UTMF の副賞としてトランスアルパイン・ランの参加権を獲得しました。受賞時の気持ちと参加を決めた理由を聞かせてください。

<土井選手> ヨーロッパアルプスを 日間も走るという本当に魅力的なレースに招待していただけると聞いてワクワクしました。他のレース日程もあり、また仕事での調整がつけばと思っていましたが、理解ある職場と後押ししてくれた家族がいたので、参加を決意しました。

TAR 2017 ハイライト

別府選手は土井選手からのパートナーの誘いを受けて参加を決意されました。

<別府選手> まず自分に声をかけてくれたことが嬉しくて鼻血が出るくらい大興奮しました。こういう機会は人生でなかなかないし、まず聞いた瞬間に心が躍ったので、その直感を大事にすぐに参加の返事をしました (もちろん職場の皆さんにご了承いただいた後に)。ただ、その後冷静に考えると走力のレベルが異なるので、ワクワクがドキドキに変わりつつあります(笑)。

TAR 2017 ハイライト

トランスアルパイン・ランは、パートナーと 人 組で走ることが特徴です。ペアでのレース経験、お二人がペアを組んだ理由をお聞かせください。また、これから苦楽を共にするパートナーへ一言どうぞ。

<土井選手> ペアレースは初めての経験です。だから未知数。そして、選んだパートナーは気を使わなくて、気が合う人。自分と別府さんは共通点が多くあり、この人と一緒なら絶対に楽しいと思える人です。別府さんへとにかく楽しむ。これを目標に頑張りましょう!!

<別府選手> ペアでのレース経験は OMM 2回ありますが、一週間の長期間はありません。毎日走るのでいかに回復させて翌日に臨むかを考えると、走っている時間も大事ですが、それ以外の時間の過ごし方がポイントになってくるのではないかと考えています。お互いに話し合いながら、リラックスして、人生で一番濃厚な週間にしたいと思っています。もしケンカしたら?その時は辛いカレー食って汗と共に流してしまおう (笑)。

TAR 2013

ルートの過酷さで知られるトランスアルパイン・ランに向けていつもと違った準備をしてきましたか?未知の挑戦に対する想いを聞かせてください。

<土井選手> 特に特別な準備はしていません。ただ、レースの内容やコース、気候や装備については過去に出場した選手にアドバイスをもらいました。

<別府選手> 特別な準備はしていません。できる限りのことはやって土井くんの足をできるだけ引っ張らずに楽しく過ごすことが自分の使命だと勝手に思っています。未知の挑戦ではありますが、好きな山のレースであることには変わりはなく、土井くんとのペアということで楽しみでしかありません。

TAR 2017 ハイライト

― 初参戦のトランスアルパイン・ランで一番楽しみにしていることは何ですか?最後に意気込みをどうぞ。

<土井選手> 一番楽しみにしていることはヨーロッパアルプスの 250km を別府さんと思いっきり楽しみながら一緒にゴールすることです。順位も大切ですが、やはり楽しむことと完走することを最優先にしたいと思います。楽しく走って順位がついてこれば最高ですね。楽しむことを頑張ります!!

TAR 2017 ハイライト

<別府選手> ヶ国にまたがるヨーロッパの山と景色の中を、そのことだけを考えて一週間も走り続けられること自体が一番楽しみでありまた贅沢な時間でもあり 、自分の人生の中でも特に貴重な体験になることは間違いないです。それも土井くんが誘ってくれたこと、職場や家族などの周囲の理解があったことではじめて成り立つことなので、感謝の気持ちを忘れずに苦し楽しい濃厚な時間を過ごしてきたいです。

TAR 2018

おかえりなさい!トランスアルパイン・ランへの参戦、大変お疲れ様でした。2 人でのペア走行、3 ヶ国をまたいだコース、1 週間の長期レース、ヨーロッパでの大会…はじめてのご経験も多かったかと思いますが、是非感想をお聞かせください。

<土井選手> これまで海外での 100 マイルレースも経験してきましたが、7 日間を連続で走るということは初めてでした。不安もある中でしたが、日本では見ることのできない景色、一人では行くことのできないトレイル、旅行で踏み入ることのない小さな町、すべてが新鮮で刺激的でそして魅力的でした。大会の運営も完成度が高く、ランナーはもちろんのこと、ランナーの家族や応援者、大会スタッフ、ボランティア、そして現地の子供たちもみんな一緒になってこの大会を楽しんでいたことが印象的でした。毎日、レースが終わると翌日のスタートが楽しみで仕方がなかったです。どんな出会い(人、景色、トレイル)があるのかワクワクしました。そして、トランスアルパイン・ランはまた走ってみたいと強く思うレースでした。

TAR 2018

<別府選手> 楽しくて一瞬のうちに過ぎてしまった感じです。毎日レースが続くので、レース以外の時間の過ごし方も大事で、必然とやること全てに意味を持たせて過ごした濃厚な 1 週間だったと思います。毎日レースをすること自体も大変ですが、見知らぬ土地でキャンプを含めて毎日移動しながら翌日のレースに向けて準備することもなかなかタフなことでした。パートナーとの相性が悪いと地獄の 1 週間だったと思いますが、その点は幸いにも最も恵まれていました。

TAR 2018

今回の結果を教えてください。

<土井選手> 初日に 4 位と上々の滑り出しを見せたものの、数々のトラブルに見舞われ終わってみると 9 位でした。ただ、順位が大切なのではなくて、大切なことはすべてのことを楽しむこと。とても満足いく結果でした。

TAR 2018

フィニッシュした瞬間のお気持ちをお聞かせください。

<土井選手> ゴールした瞬間は、純粋にパートナーである別府さんへの感謝の気持ちです。4 日目に肋骨を骨折している中、満身創痍で走り続けてくれた相方を尊敬します。

<別府選手> 最後まで走り切った達成感ともう終わってしまう寂しさで泣くのかなと思っていましたが、全く感傷的にはならず、パートナーへの感謝、走らせてもらえた家族、職場、大会関係者などへの感謝の気持ちで一杯で幸福感に満ち溢れていました。

TAR 2018

これまで参加されてきたレースと異なる部分はありましたか?

<土井選手> これまではどんな距離にせよ 日で終わるレースしか出場してきませんでしたが、今回は連続 日間。日によって体の動かない日、疲労困憊の日など様々な状況でもゴールに向かう気持ちの作り方を経験しました。その日のレースが終わればすぐに補給や体のケアを行い、レース直後から翌日のレースが始まっている状態でした。日々移り変わる状況に適応し、柔軟に対応していくことがステージレースには必要だと感じました。自身初のペアによる海外でのステージレースだったので、レースでもレース以外でも多々ありました。

TAR 2018

<別府選手> レースに関しては、日間を通してベストの走りをするためにどの程度で毎日走ればいいのかの判断が難しく、この点がこれまでとは異なる、ステージレースの醍醐味だと思いました。個人的には大会 日目朝の疲労が一番激しく、その後がすごく不安になりましたが、なぜかその後は体が順応し始めたのか、同程度の疲労はあまりなく走り切れました。また、毎日のごとくスタート時間やコースの変更があり、はじめ驚きました。

レース以外の部分で一番異なると感じたのは、ほぼ毎日宿泊先が変わるのに伴い、会場からの移動手段やバス出発時間の把握など、自分で時間のコントロールができない中で翌日のレースに向けてできる限りの準備をしなければならないことでした。

TAR 2018

楽しかったことは何ですか?また精神的に辛かったことはありましたか?

<土井選手> 日本では見ることのできない景色の中やトレイルを走ることが出来たこと。そして、多くのランナーと仲良くなれたこと。毎日走ることが楽しみで仕方がなかったです。これは日常では考えられません。逆に精神的につらかったことは特にありません。確かに身体は疲労していましたが、気持ちが切れることがなく、辛いより楽しい気持ちのほうが上回っていました。

TAR 2018

<別府選手> 楽しかったことは多々ありますが、まずは信頼できるパートナーと 週間過ごせたこと。週間ずっと一緒に過ごすって夫婦でもなかなかないことですよね。僕にとっては年下でも尊敬できる偉大なパートナーであり共通事項が多かった(元バスケ部、カレー好き、食べるのが遅いなど)ので、ケンカもすることなく楽しく濃密な 週間でした。そしてレベルが同程度のチームとは特に競いながらも自然と仲良くなるところがすごく良い点だと思いました。辛かったことも大小含めれば多々ありますが、それは今となっては良き思い出です。

TAR 2018

ご自身のレースのハイライト・シーンを教えてください。

<土井選手>やはり最終日。特にこの 日間を締めくくるに相応しい晴れ渡った空の下、ヨーロッパアルプスの絶景の中、別府さんと最後の下りをゴールに向かって駆け下りていくときに感じたのは 充実した感情” と 終わってしまう寂しさ” の混在した何とも言えない感覚でした。そして、多くの人にゴールで迎えられ、フィニッシュメダルをかけてもらったときに今回の目標である「日間、人で笑ってゴールする」を達成できたことを実感した瞬間がハイライトです。

<別府選手> 大会 日目の終盤に肋骨を骨折し肺に血が溜まるケガに見舞われましたが、その後の 日間も集中力を切らさずにできる限りの力を振り絞って、大きく失速することなく最後まで走り切れたこと。これは土井くんがあえて少し先行し、僕が自分だけに集中できるよう状況を整えてくれたことが大きかったです。

TAR 2018

最後に、今回苦楽を共に過ごしたパートナーへ一言。

<土井選手> いくつものアクシデントがあった中で別府さんと最後まで走れて本当に楽しかったです。そして、いつ止めてもおかしくない状況の中、常に前向きな姿勢を背中で示してくれてすごくカッコよかった!!毎日のパスタパーティーで見せる強靭な胃袋にも驚かされました(笑)

<別府選手> 大会 3 日目とケガしてからの 日目以降は特にあなたの足を引っ張ったと思う。だけど、毎日のゴール時は笑顔で接してくれて救われたよ。本心はやきもきしていたはずだけど(笑)それらを含めてこれまでの道中を最終日のレース時に思い出していると目からも汗かいていてビックリ。レース以外の時間もストレスなく過ごせたことを思うと、本当に良いパートナーに恵まれたと思います。

 

 

2018 年 9 月 ~ 10 月公開予定

 

 

GORE-TEX TRANSALPINE RUN とは

毎年開催され、今年で第 14 回目を迎える GORE-TEX Products 主催のトレイルランニングレース。ヨーロッパ・アルプスを舞台に、参加者は2人1組でレースに挑み、安全の確保はもちろん、仲間と一緒に景色を楽しみながら自分たちの限界に挑戦します。このイベントは世界で最も過酷なマルチステージの山岳レースの一つとして知られており、平均 30% がリタイアするほど。

トランスアルパイン・ラン公式ウェブサイト (英語)